●宮滝あたり
■「宮滝遺跡」と「吉野宮跡」 柴橋のたもとに石碑が建ち、中荘小学校の校庭が見え、校舎の裏に吉野川流域で最大の「宮滝遺跡」が在ります。ここから出土した縄文時代後期の土器にわざわざ「宮滝式」の名称が付けられ、また遺跡の北側から飛鳥時代以後~平安時代初期の建物跡も発見され、656年女帝斉明天皇が「吉野宮」を造ると「日本書紀」に記された「吉野離宮」と推定され、「吉野」へ行幸した天皇は、応神天皇から聖武天皇まで8人で、その間約440年余、672年6月24日大海人皇子が近江朝打倒の為ここから出陣し、後で「吉野の盟約」を行い、また、女帝持統天皇は在位9年間に31回吉野へ行幸しました。 ●宮滝遺跡 吉野の宮に幸せる時、柿本朝臣人麿がよめる歌 巻1-0036 やすみしし 我が大王の きこしをす 天の下に 国はしも 多(さは)にあれども 山川の 清き河内(かふち)と 御心を 吉野の国の 花散らふ 秋津の野辺に 宮柱 太敷き座(ま)せば ももしきの 大宮人は 船並(な)めて 朝川渡り 舟競(ふなきほ)ひ 夕川渡る この川の 絶ゆることなく この山の いや高からし 落ち激(たぎ)つ 滝の宮処(みやこ)は 見れど飽かぬかも 反し歌 巻1-0037 見れど飽かぬ吉野の川の常滑(とこなめ)の絶ゆることなくまた還り見む ●宮滝あたりの吉野川 「喜佐谷川」が「吉野川」に流れ込む「夢の和田」です。また、青く澱んだ淵は昔河童がいた「夢が淵」です。万葉集で吉野川の流れは「たぎつ河内」「夢のわた」「川淀(かわよど)」等と詠まれ、柿本人麻呂が女帝の持統天皇の吉野行幸に供をして来た時の歌は、 万葉集、巻1-0039 山川も依りて仕ふる神ながらたぎつ河内に船出せすかも ●宮滝の「柴橋(しばはし)」 昔はもう少し上流(写真で奧)の川幅が狭い所に架かり、旧東熊野街道上の橋で、当時は松の丸太を橋桁にしてその上に歩み板を張り、柴垣で欄干を造っていたので鉄橋に架け替えられた今でも「柴橋」と呼ばれます。また、昔は吉野川の水量も今よりは多く、万葉人達が「滝つ河内」で船遊びを行い、最高の避暑地でした。 万葉集巻6-908 毎年(としのは)にかくも見てしかみ吉野の清き河内のたぎつ白波 柴橋の上流には、左岸に甌穴(おうけつ)が数十個在り、直径が約3m、深さ約6m、関西で最大です。なお、右岸に柱状の大岩が立ち、そこから飛び込むと二百文貰えた「二百岩」や、南無阿弥陀仏の六文字が刻まれている「名号岩」も在り、また、上流の橋が「宮滝大橋」、その上が「船張山」で、麓の辺りが万葉集で湯原王が詠んだ菜摘(なつみ)です。更に手前の左側で煙突の辺りが宮滝温泉、手前の右側も万葉集の三船山です。ー奈良観光より抜粋ー 車持朝臣千年(くらもちのあそみちとせ)がよめる歌一首、また短歌 0913 味凝(うまこり)あやに羨(とも)しき鳴神の音のみ聞きし み吉野の真木立つ山ゆ 見降(くだ)せば川の瀬ごとに 明け来れば朝霧立ち夕されば かはづ鳴くなり 紐解かぬ旅にしあれば吾(あ)のみして清き川原を見らくし惜しも 反し歌一首 0914 滝(たぎ)の上(へ)の三船の山は見つれども思ひ忘るる時も日も無し ※万葉故地の中でも吉野川は一番詠まれているところではないでしょうか!! 今日、こうして初めて眼にして感激で一杯です。吉野宮址あたりは、丁度開けた台地のようになっており、眼前に川原や、山や、谷が一望できて、今でも美しいですが、本当にいい所だったと想像できます。(避暑地としては最高ですね!!)
by barakan1
| 2005-09-17 16:35
| 旅日記
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