●平群坐紀氏神社前よりみる平群谷、生駒連山 ■平群坐紀氏神社 「式内名神大」 祭神:天照大神、都久宿禰、天児屋根、八幡大菩薩。 由緒,伝承:社頭掲示概略 辻の宮、椿の宮と呼ばれていた。祭神は平群木菟宿禰(へぐりのずくのすくね)=(都久宿禰)で、紀船守(紀氏もしくは平群氏の末裔)がその祖、平群木菟を祀っている。 中世には春日神社にもなっていた。本殿は春日造りで朱塗り、銅板葺き。延宝七年(1679年)の石灯籠が最も古い。 影媛の恋人、平群鮪(しび)の本拠地です。 ●神社遠景 ●鳥居 ●鳥居外から ●鳥居内から 影媛あはれ 【由来】武烈天皇が皇太子だった時、大臣平群真鳥(へぐりのまとり)は国政を擅断(せんだん)し、数々の無礼をはたらいた。ある日、皇太子は物部麁鹿火のむすめ影媛を娶ろうと思い、仲介の者を影媛の家に遣った。ところが影媛は、すでに真鳥の息子鮪(しび)と情を交わしていた。影媛は「海石榴市(つばきち)の巷でお待ちしています」と返事をしたので、皇太子はそこへ出掛けていった。市では歌垣が行われていた。皇太子は影媛の袖をとらえ、ついて来るように誘った。そこへ鮪がやって来て、二人の間に割って入ったので、皇太子は影媛の袖を離し、鮪との間で歌を応酬した。皇太子は鮪の歌によって鮪がすでに影媛を得たことを知り、顔を赤くして怒った。この夜、皇太子は大伴金村の家に行き、兵を集める相談をした。金村は数千の兵を率い、鮪を捕えて奈良山で処刑した。影媛は奈良山まで追ってゆき、鮪の処刑されるのを見た。驚き混乱し、目に涙があふれた。そこで「石上…」の歌をよみ、鮪のしかばねを土に埋めた。家に帰ろうとした時、むせび泣いて「なんと苦しいこと。今日愛しい夫を失った」と言い、再び涙を流して「あをによし…」の歌をうたったという。 ●境内 石上(いすのかみ) 布留(ふる)を過ぎて 薦枕(こもまくら) 高橋過ぎ 物多(さは)に 大宅(おほや)過ぎ 春日(はるひ) 春日(かすが)を過ぎ 嬬籠(つまごも)る 小佐保を過ぎ 玉笥(たまけ)には 飯(いひ)さへ盛り 玉椀(たまもひ)に 水さへ盛り 泣き沽(そぼ)ち行くも 影媛あはれ(紀) 【通釈】石上の布留を過ぎて、高橋を過ぎ、大宅を過ぎ、春日を過ぎ、佐保を過ぎ、お供えの美しい食器にはご飯まで盛り、美しいお椀には水さえも盛って、泣き濡れて行くのよ、私。影媛、ああ可哀相に。 ●拝殿 ●本殿 あをによし 乃楽(なら)の峡間(はざま)に 鹿(しし)じもの 水漬(みづ)く辺隠(へごも)り 水灌(みなそそ)ぐ 鮪(しび)の若子(わくご)を 漁り出(づ)な 猪(ゐ)の子(紀) 【通釈】奈良の谷間で、射殺された獣のように、水がひた寄せる岸辺にひっそり斃れ、水びたしになっている、鮪の兄さん。それを探し回って、あばき出すようなことはしないで、猪さん。 ー千人万首よりー ●摂社 ●手水舎 ●灯籠 ●狛犬 ■雲甘寺坐楢本神社 式内社 ●北東より神社を見る ●神社全景(南より) 延喜式の雲甘寺坐楢本神社が当社とされ、江戸期には白山権現社、明治には野田明神とも呼ばれ、祭神は菊理姫命。水滴に宿る神で、産土神(清明の根源の神)にあたる。元は東500m付近の丘の上にあった雲甘寺の鎮守社であったが、明治初年(1868)に寺が廃され同2年頃に現在地に遷座されたという。 ●神社南入口 ●神社東入口 拝殿の奥に立派な朱塗りの本殿があり、伝承では雷難除去にご利益があったという。摂社の春日社は吉田村の氏神を合祀殿という。梨本村・西向村・吉新大字(吉田村・新家村)の四村の氏神で宝永3年(1706)の改帳には5*9尺の白山権現社を中心に252坪の広い境内を有していたとある。 ●社務所、境内 ●拝殿 ●本殿 延宝6年(1678)の石燈籠や白山権現と彫られた、元禄16年(1703)手水石が境内にあり、文久2年(1862)の湯釜も伝わる。 ●手水舎 ●境内石燈籠 ★平野の真中にポツンと杜がある感じで、神秘さとか、荘厳さには欠けるがよく手入れされた境内は明るく落着いている。日頃よくお参りする、出来る産土神そのものだ。
by barakan1
| 2005-06-23 15:03
| 旅日記
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