●吉野・川上村探訪の途中、越智車木の斎明天皇陵に寄りました。以前の探訪で抜けていたものですから、やっと訪ねることが出来ました。が、行程上7時半の到着となり、まだ、完全に陽が登っていず寒さに震えました。陵への階段は長く・キツイものでした。其れにもまして朝の寒さと薄暗さに震えながらも神聖な畏れを感じました。
■斎明天皇越智岡上陵(おちのおかのうえのみささぎ) 斎明天皇越智岡上陵は、高取町大字車木(くるまき)の民家のうしろにある丘陵の山頂にあります。舒明天皇の皇后であり、天智・天武天皇と孝徳天皇の皇后間人皇女の母です。大田皇女(ひめみこ)の弟で、八歳で亡くなった聾唖の建王と間人皇女(はしひと)も合葬されています。 ●斎明天皇越智岡上陵(正面頂上あたりに陵あり) 斎明天皇は、舒明天皇(じょめい)の皇后で夫君の崩御後、皇極天皇(こうぎょく)となり、645年大化改新とともに位を弟の軽皇子孝徳天皇に譲り、孝徳天皇崩御後には、重祚(ちょうそ)して斎明天皇となりました。 斎明天皇御歌 万葉集 巻1-0008 熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな 巻8-1511 夕されば小倉の山に鳴く鹿は今夜は鳴かず寐ねにけらしも 激動の時代にあたり、皇極天皇時代には、蘇我入鹿(いるか)が、眼前で殺され(大化の改新)、また斎明天皇時代には孝徳天皇の息子の有間皇子(ありま)が謀反の疑いで、謀殺されました。また、対外関係では百済への救援をすると共に、天皇自身も百済救援の兵を派遣するため九州筑前朝倉宮に出征されましたが、その地で急死されました。 斎明天皇が八歳で亡くなった孫の建王(たけるのみこ)を偲んで越智岡を舞台に詠った歌。 日本書記 斎明天皇四年五月条 今城(いまき)なる小丘(おむれ)が上に雲だにも著(しる)くし立たば何か歎かむ 今城の小丘(越智の岡)の上に せめて雲だけでもはっきりと立ったなら どうしてこれほど嘆こうか (日本書紀) 山越えて海渡るともおもしろき今城(いまき)の中(うち)は忘らゆましじ 飛鳥から山を越え、海を渡って、紀の国へ出かけてゆく。道中の景色は目を楽しませてくれるだろうけれど、いま今城の殯宮の中にいるあの子ほど、私の心を晴らしてくれる存在はなかった。旅をしても、あの子のことは決して忘れられないだろう。 また、中腹の茂みに大田皇女の墓があります。大田皇女は息子の天智天皇の娘で、後に天武天皇に嫁しました。 ●太田皇女墓(大伯皇女・大津皇子の母) ●右の石段を登ると斎明天皇越智岡上陵 ●越智岡 越智といえば、草壁皇子(岡宮天皇陵)の陵も丁度この反対側(真弓の岡)にあります。越智丘陵は古墳が沢山有り、古代王族の墓場だったのですね!?。 越智が詠われた万葉歌柿本朝臣(あそみ)人麻呂が泊瀬部皇女(はつせべ)と忍坂部皇子(おさかべ)とに献(たてまつる)る歌一首 併(あは)せて短歌 巻2-0194 飛ぶ鳥の 明日香の川の 上(かみ)つ瀬に 生ふる玉藻は 下(しも)つ瀬に 流れ触(ふ)らふ 玉藻なす か寄りかく寄り 靡かひし 夫(つま)の命(みこと)の たたなづく 柔膚(にきはだ)すらを 剣刀(つるぎたち) 身に添へ寝ねば ぬば玉の 夜床(よとこ)も荒るらむ そこ故に 慰めかねて けだしくも 逢ふやと思ほして 玉垂(たまたれ)の 越智(をち)の大野の 朝露に 玉藻はひづち 夕霧に 衣は濡れて 草枕 旅寝かもする 逢はぬ君故 反歌一首 巻2-0195 しきたへの 袖交(そでか)へし君 玉垂れの 越智野過ぎ行く またも逢はめやも 右、或(ある)本に曰(いは)く、「河島皇子を越智野に葬(はぶ)る時に、泊瀬部皇女に献(たてまつ)る歌なり」といふ。
by barakan1
| 2005-11-18 15:55
| 旅日記
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